マネジメントサポートグループ代表 古谷治子氏コラム 3

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机上の空論ではなく研修や訓練を通じての行動化が大切
・完全を求めるよりもまず出来ることから改善することの重要性
・消費者目線でのブレインストーミングの重要性


消費者庁誕生の背景には、企業活動に起因する痛ましい消費者被害から消費者を守るということが最も大きな理由です。もちろん消費者被害の中には消費者の知識不足や取り扱いミス等、消費者側に問題があるケースが多いのも事実ですが、その一方で、明らかに企業の情報共有化の不備や対応の拙さにより被害を拡大された事例も決して少なくありません。
被害者本人はもちろん、そのご家族や関係者にとって、消費者被害は決して教訓では済まされないということを、顧客との直接的な接点となるコールセンターやお客様相談室の従事者は肝に銘じ、自社の製品・サービスに起因する消費者被害の未然防止・拡大防止策を日頃から講じる必要があります。

ある意味、コールセンターやお客様相談室業務従事者にとって、CS経営やお客様目線という言葉は聞き飽きた言葉かもしれません。しかしながら、皆さんがこれまで正しいと信じて疑うこともなかった概念が、実は根本的な矛盾に満ちているということを理解しなければなりません。
本来、正しいお客様目線とは、文字通り主役をお客様とする考えに他なりません。しかしながら、今日、日本の多くの企業で行われている企業CS活動においては、いつのまにか企業都合によるCS活動、つまりは、主役が企業でお客様がその対象に過ぎない真の主役が置き去りにされたCS活動が展開しているのです。

歴史上、いろいろな対立軸がその時代を表現しますが、かつての国家と国民や企業と労働者といった基軸と同様、21世紀のそれは企業と消費者であるという認識が必要です。
まず、そうした正しい認識に立ち、消費者が本質的に企業に対して有する権利、具体的には


1.安全を求める権利
2.知らされる権利
3.選ぶ権利
4.意見を聞いてもらう権利


について、企業として真摯に取り組む必要があります。

特に経済が国際化し、企業の商品・サービスが国境を越えることが当たり前になった今日、この消費者の権利という考え方とその擁護はISOにも明記されている概念であり、いわば世界標準でもある考え方なので、国際市場に商品やサービスを提供している企業におかれましては、自社におけるCS活動の原点を再確認することが大切です。

完全を求めるよりもまず出来ることから改善することの重要性

まず第一にコールセンターやお客様相談室に属する職員の教育の所掌が人事部なのか現場なのかあるいは社内研修センターのような組織なのかを今一度確認しておくことが大切です。歴史のある企業では社則等により業務分掌が明確にされているかと思いますが、比較的歴史の浅い企業等によっては、文章による明確な規定がないまま運用ベースでなんとなく現場で教育が実施されているケースも多いかと思いますので、この機会に一度社内的に整理されるのがよろしいかと思います。

もっとも、本来は、国においてコールセンター従事者指定教育といった標準的なスキル・知識認定制度のようなものが示されることが望ましい姿かと思いますが、現時点では、整備が遅れている関係上、個々の企業が独自に消費者被害の未然防止・拡大防止の体制を整える必要があります。
その際、何が十分で何が不十分なのかを社内共通言語として認識するために、自治体が実施する防災訓練ではありませんが、今後、企業の顧客接点であるコールセンターやお客様相談室においては、実際に自社の商品やサービスで発生し得る消費者からの被害電話の入電を想定した訓練をできる範囲でまず実施すべきであると考えます。

もちろん過去の知見やノウハウの蓄積がない企業においては、最初から高度な訓練や研修は望むべくもないので、まず出来る範囲で実施し、そこで明らかになった問題点を洗い出し、地道ではありますが解決していくべきではないかと思います。
また、そうした訓練や研修とは別に、接点部門の研修カリキュラムの中には、情報共有を怠ったために、重篤な消費者被害を発生させてしまった事例等をケーススタディーとして学習することが、顧客接点部門に従事する職員としての意識づけに効果がある対策かと思います。

消費者目線でのブレインストーミングの重要性

研修や訓練を実施すれば、例えば、誰が、いつ、何を基準に、どう判断するのかとかといった事柄や、社内の誰にいつの段階でどの情報を周知するのかといった様々な問題点を洗い出すことができるかと思います。

特に大企業によっては、部署や立場によっては顧客との接点が薄くなり、消費者の生の声が全く届かないがために判断を誤ったり、利益優先の組織風土により、消費者被害の拡大防止に努めるどころか、それとは正反対に情報の隠ぺいに努力するなど、およそ社会の公器とは程遠い行為が、現に日本を代表するような企業でも行われてきたという現実を直視する必要があります。
そうした問題を自社で発生させないためにも、組織を超えたブレーンストーミングを行い、常に透明性と正しい判断基準により、消費者被害の未然防止・拡大防止に企業としてどうすべきかを常に思考していく組織風土作りが大切だと思います。

最後になりますが、コールセンターやお客様相談室従事者においては、情報共有化や判断の遅れに起因する、いわゆる本来は回避できた2次的被害を発生させないよう組織的な取り組みを行って頂けることを切に希望します。

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