コンタクトセンターで人を育てる2<問題編>

コンタクトセンターで人を育てる2<問題編>
  ──仕事で大切なことはすべてここで学べる──

コンタクトセンター(コールセンター)は少し特殊な世界です。
○○業界というくくりもないあいまいな業種。縦割り社会。孤立した組織。就業人口は100万人と言われていますが、正規社員が少なく、賃金レベルは低い。「あまり行きたくない世界」「あまり就きたくない仕事」と思われていることも多いようです。人材育成は採用から教育まで現場主導、評価システムも現場で構築、業務の特殊性が汎用的なセオリーを拒みます。組織として成立し始めてから20年は経つのに、組織論も役割定義もいまだ混沌としたままです。「インハウス」運営でも「アウトソーシング」運営でも求めているのは「効率」「コスト」。それなのに、「顧客満足」「品質」も要求される難しい職場です。

だからこそ...ここで頑張る人たちにスキルがつかないわけがない!

管理者の視点からも、業務に従事する人の視点からも読めるコンタクトセンターの人材育成の解体新書をシリーズでお届します。
※「スキル」などに関する一部の記事が以前のコラムと重複する場合がありますが、なにとぞご容赦を!

第二回 コンタクトセンターで人を育てる<問題編>
・問題だらけ?の人材育成

コンタクトセンターに限らず、人材育成に限らず、「組織」にはさまざまな「問題」が起こります。それは、当然です。
皆さんは「コンタクトセンターの人材育成」にどんな問題点を感じていますか?
そもそも、「問題」って何でしょう。

よくこんな話を聞きます。
・スキルにばらつきがある。
・要員定着率が良くない、半年で辞めてしまう。
・やる気がない。
・ノウハウのある人に仕事が偏っている。
・人材不足。
・品質低下。
・応答率が悪い。
よく耳にする言葉をばらばらと書きましたが、ちょっと待ってください。どれが問題点?
そりゃ全部問題でしょう?とおっしゃるかもしれませんが、もう少しはっきりさせましょう。

例えば、
「スキルにばらつきがある」

研修のディスカッションで一番人気?の問題点です。
いろいろな組織のSVさんやリーダーさんが口にします。
人によってスキルにばらつきがあると問題?
確かに多くのセンターでは、一次対応者には「均一なスキル」が求められます。
でも、これ、本当は「均一な解答の提供」が必要なんですよね。
「皆が同じ解答ができること」のためのひとつの手段が、「均一なスキル」なわけです。

すると、問題点は、
「均一な解答が提供できていない」
ことのはず。

つまり、スキルに多少のばらつきがあったとしても、お客さまに迷惑をかけていなければ構わないはずです。
(例えば「大変良いデータベースと使いやすい検索システムがある」とか..)
もちろん、これは例です。多くのセンターでは、「均一な解答が提供できない」ことの原因は「スキルのばらつき」なわけですから、同じことのように感じてしまうかもしれません。
違う理由があるセンターもあるかもしれません。

ここで重要なのは「問題の本質は何か」ということです。
「問題の本質をどれだけとらえているか」ということは、その先の打ち手に響きます。
本質をとらえれば、対策の優先順位が見えてきます。
理由が明確で、納得のいく組織行動があれば、人も育ちます。当然これは「人材育成」限定の話ではありません。組織の「問題解決」すべてに通用する話しです。

問題点を考えるとき、「その事実のために何が困るのか」を最後まで文章化してみませんか。
本当の問題点はそこから見えてくるはずです。
冒頭の「問題点」の言葉を少し書きなおしてみましょう。
・スキルにばらつきがある。
 →スキルにばらつきがあるため、お客さまに同じ解答が同じ時間内に提供できていない。
 →スキルにばらつきはあるが時給が一定のため作業が偏り、要員に不公平感が
蔓延している。
・要員定着率が良くない、半年で辞めてしまう。
 →要員定着率が悪いため、採用、教育コストが増大している。
 →要員定着率が悪く新人が育たないため、古参社員を新たな部署にローテーション
できない。
もちろん、どちらも例です。あるいは両方かもしれません。もっと他に困ることがあるかもしれません。しかし、このようになるべく詳細に、具体的に記述してみることで、問題はより本質に近づきます。他の問題に気づくこともあります。

コンタクトセンターは、混成組織です。立場、身分(制度)、が違う人間が一体となって現場を運営していかなくてはなりません。
だからこそ、互いの立場や目標をしっかりと整理した「人材育成」が必要です。
現場の教育負担、人材育成負荷は複雑かつ大量であるにも関わらず、体系や役割分担、責任認識ができていない状況も多く見受けられます。

大切なのは以下のことです。
・立場や役割ごとに「目標となるべき人材像」が描かれている。
・個々の目標達成において到達支援がある
・障害となることを問題点と認識し、本質的解決がなされている。

キーワードは「品質より本質」です。
どれだけ本質に迫っているかは、効率にも影響します。つまり「やりなおし」がないということです。

人を育てるための、「問題点認識」、皆さんの組織では適切に実行されていますか。
次回から、その「問題」のひとつひとつをひも解いてみたいと思います。
第三回は、コンタクトセンターで人を育てる<対象者編>の予定です。

Y‘sラーニング株式会社

・学習院女子短期大学卒。
・業務アプリケーションサポート業務、ネットワークの運営管理サポート
業務を経て、コールセンター、ヘルプデスクの構築、運営に携わる。
 2000年より、品質管理および人材育成を担当。
・品質管理、採用、要員教育、教育コース開発、顧客満足度調査の
結果分析を行いスキルの標準化、可視化に取り組む。
・2005年5月Y‘sラーニング株式会社設立。代表取締役
 (社)IT協会 チーフディレクター
 コミュニケーションおよびマネジメント研修を中心に活動中
・著書:「できる人の要約力」(中経出版)

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